麻生 典子 ゼミナール

研究課題

人間科学専門ゼミナールⅠ
「生涯発達心理学Ⅰ:人間の発達と心のなりたちを理解しよう」
人間科学専門ゼミナールⅡ
「生涯発達心理学Ⅱ:人間の心の発達を支援し、自己の可能性を伸ばそう」

研究内容

 生涯発達心理学は、人間の存在を、生命の誕生から死ぬまでの生涯を通じて、成長発達し続けるものだと捉えます。従って、生涯発達心理学の研究対象は、子どもに限らず、様々な年代のあらゆる心理学の現象や問題が該当しますので、非常に幅が広いです。これまでのゼミ生の研究内容をみると、研究テーマや研究手法も多岐にわたっています。

2020年度卒業研究のテーマ
  • 現代の若者の理想自己における挑戦とリスクに対する意識
  • ライフイベントごとの成功失敗経験の有無と楽観性との関係について
  • 大学生における目及び瞼に関する対人魅力について
  • 大学生のSNS 利用に関する意識調査
  • 男性における女性のバストへの性的関心
  • 大学生におけるスクリーンタイム・睡眠時間とメンタルヘルスの関連 等

人間科学専門ゼミナール Ⅰ

 ゼミⅠは、人間の生涯発達に関する基本的知識や研究方法を理解し、各ゼミ生の問題意識をはぐくみ、研究実践に必要な研究感覚・基本的能力を養うことが目的です。前期は、まず、ゼミ生が自主的に文献を取り寄せ講読できるようにするため、図書館の電子ジャーナル等を用いた論文検索や資料収集の方法を丁寧に演習します。ゼミ生は、主要な雑誌論文の中から、興味がある分野の研究論文を選択し、予めレジュメをまとめ発表してもらいます。後期は、KJ 法やクラスター分析を演習し、ゼミ生の研究上の関心を顕在化していきます。

人間科学専門ゼミナール Ⅱ(※ただし、2022年度は募集しない)

 ゼミⅡは、ゼミ生の研究的関心を深め、研究計画を立案し、共同研究を実践し、論文を執筆することが目的です。前期は、グループでブレインストーミングを行い、研究テーマを選定します。テーマに関する先行研究を精読し、実現可能性をふまえながら、研究計画を立案していきます。基本的な研究技法(Pac 分析・KJ 法・実験法・行動観察など)を演習し、データの収集と分析方法を学びます。後期は、研究計画をブラッシュアップし、予備実験を重ねながら、本研究を実施します。共同研究で取得したデータは、論文としてまとめ、推敲を重ねた後、ゼミ誌に掲載します。年間を通して、ゼミ生同士が意見交換や情報共有を行いながら、共同研究論文をより洗練させていきます。

指導方針

  1. 自らの学問的関心に従い、主体的に学び、行動することを求めます。
     研究テーマは、ゼミ生の関心に応じて自由に設定して構いません。ゼミの授業では、質の高い学術的知識を吸収し、研究知見に対する批判的思考を養うため、雑誌論文の講読を積極的に取り入れています。ゼミⅠとゼミⅡとともに、通年で一人当たり20本以上の論文を読み、2回以上は読んだ論文をまとめて発表してもらいます。興味がある人は英語論文の講読にも挑戦してもらいます。
  2. 実学を重視し、様々な体験の場を提供することで、ゼミ生の成長を支えます。
     麻生ゼミは、ゼミ単位で様々な活動(神大フェスタ、お話会、ボランティア活動、合宿、コンパ、登山、温泉旅行等)を行っています。ゼミ活動を通して、ゼミ生が研究活動や社会関係、人間関係に真摯に取り組む姿勢を養い、人格的に成長することを目指します。近年力を入れている活動は、絵本の読み聞かせです。授業の中で、読み聞かせに必要な援助技法(ハンドベル、ペープサート、パネルシアター、朗読等)を練習し、その成果を地域の子ども達(近隣小学校、学童保育、保育園、子育て広場)を招いてのお話会で披露しています。読み聞かせ体験は自己表現や自己理解を深め、他者への共感性を養い、様々な年代の人々とコミュニケーションする能力を高めます。
  3. 理論と実践の両輪により、生涯発達心理学の専門性を体系的に理解します。
     麻生ゼミは、生涯発達心理学の実践を経験する様々なフィールドがあります。フィールドは、中学校、保育園や学童保育、子育てサロン等の子育て支援事業です。希望者は夏季期間中を利用して、ボランティア活動や見学実習、アルバイトに参加することが可能です。大学で学んだ知識と実践現場で得た経験を参照しながら、問題意識を育み、生涯発達心理学の専門性を究めていきます。
  4. 卒業者や専門家との交流により、自らの心の成長や心理学的支援の在り方を幅広く学びます。
     麻生ゼミは、学年を超えたゼミ生同士の交流を活発にしています。ゼミ生ズーム交流会や4年生就活報告会では、身近な先輩から気軽にアドバイスをもらえます。また、卒業生や臨床実践現場の専門家を招致した講演会を開催しています。将来、子ども関係や福祉関係、臨床心理関係など心のスペシャリストを目指す学生には、実践に触れる貴重な場となっています。
     2020年度及び2021年度は新型コロナウィルス蔓延の緊急事態宣言により、フェスタ及び課外活動、合宿等は全て中止となりました。2022年度は国や大学の方針に従いながら、最大限の学びを担保できるように努めていきます。

 <麻生ゼミのポリシー>
1:人から学ぶ、本から学ぶ、経験から学ぶ。
2:何事にも一生懸命に取り組む。
3:苦しい時こそが、自分が成長するとき。
4:自分を大事に、周りの人との関係を大事にしよう。
5:挨拶、気配り、感謝の気持ちを忘れない。

教員より新ゼミ生へ一言

 赤ちゃんが今何を考えているか、想像したことはありますか?無論正解がないので(赤ちゃんは「当たり!」と決して言いません)、何も考えていないと答える人もいると思います。大人になるほど、子どもの心の世界を想像するのは難しくなります。麻生ゼミは、人間科学部で唯一子どもの発達と子どもの心のケアを学ぶゼミです。三年間のゼミでの様々な学びと経験により、子どもの心と向き合う感性が磨かれていきます。そして、それはゼミ生自身の心の成長にもつながります。将来、「ゼミで、発達のことやっておいて、よかったぁ!」と思う時が必ず来ます。麻生ゼミでの学びは、必ずゼミ生の人生に(就活にという話も?)役立つ貴重な経験になると思います。

選考方法

ゼミの志望動機と興味があるテーマを書いて提出していただきます(字数600字程度)。
受講人数多い場合は、選考を行う場合もあります。