笠間 千浪 ゼミナール
研究課題
人間科学専門ゼミナールⅠ・Ⅱ
「現代社会における「文化」現象の社会学」
研究内容
専門ゼミナールⅠ・Ⅱのテーマ:ジェンダー要因を重視して「文化」現象を読み解く
専門ゼミナールⅠ・Ⅱのテーマ:ジェンダー要因を重視して「文化」現象を読み解くここでいう「文化」とは、私たちが日常的に使いがちな「日本文化」や「フランス文化」というような「国別の文化」とは違います。実は「国別の文化」自体も、最近の研究では近代以降、意識的に「国家単位の文化」として創り上げられてきたことが解明されつつあります。
そのような意味における「文化」は、日常世界にさまざまな層をなしているポピュラー(大衆的)カルチャー、サブカルチャー、若者を中心としたストリート文化など消費社会における文化現象であり、そこは多様な価値観や社会的な力学/権力が交錯する「場」となっています。ですので、そういった「文化」が固定的な型を持っていると考えたりせず、また政治や経済から切り離されたものととらえないことも大切です。現状追認(=「今ある状態に何の疑問も感じない、これが当然とするような態度」)ではない社会学的な考察が必要になってきます。
それから、消費社会は第二次大戦以降に急に生成されたわけではありません。資本主義という経済システムは必ず消費を喚起する側面をもっているので、時代区分的には近代の形成と消費は連動しています。
ただし、消費社会が大衆化し始めた時期になると(地域によって多少のタイムラグはありますが)、1920年代以降ということになります。日本社会では大正から昭和初期にかけての時期が大衆消費社会の第一波と考えてよいでしょう。ですので、ゼミであつかう時期は現在だけではありません。現在の文化現象も過去からの何らかの系譜をもつので、そういう観点でも時代的にはなるべく長い射程をもつことが必要になってきます。
ゼミⅠでは主に現代社会における文化現象を主に扱います。また、あらゆる文化現象はその社会に浸透している「物語」を保持しています。それゆえ、「物語」や「ナラティヴ」といったアプローチもゼミでは扱う予定です。
それでは、具体的にはどのような文化現象がテーマとなりうるのでしょうか?
ex)
- 繰り返される「新しい女」「新しい男」現象(or「論」)について
- 女性雑誌における「赤文字系」と「青文字系」の区分と読者層
- 女子サブカルチャーにおける過剰な「女性性」の演出について
- 人気マンガ・アニメにおける女性キャラや男性キャラの描かれ方
- 「ジモト」を大切にする「ヤンキー文化」における「男性性」の現れ方
- 英国版「ヤンキー」の「チャヴ」文化について
- グローバル化格差社会における貧困問題と文化の関連
- スポーツ競技や報道におけるジェンダー
- 「少女」「女の子」「婦人」などよりも、なぜ「女子」カテゴリーが多用されるのか?
- 「女子力」が流行する社会における女性の状況
- 最近のクロスドレッシング現象は何を意味するのか
- 「(マーケティング分野における)若者論」を社会学的に検証する
.....
ここにあげた具体例はごく一部分でしかありません。皆さん自身が身近で興味のあるテーマをぜひ探りあててください。
指導方針
前期は、共通の文献をゼミ生で読んでいきます。ジェンダーおよび文化社会学やカルチュラル・スタディーズ関連文献です。後期はひき続き、共通文献での勉強に加えて、各ゼミ生は自らの具体的なテーマを選定し、個人報告も行います。
なお、ゼミ生の研究のながれとしては以下のようになるでしょう。
- 社会史、理論、各種事例を通して自分の(仮)テーマを検討する(ゼミナールⅠに相当)
↓ - 自己の個別テーマの設定 + 具体的な事例の決定(フィールドワーク等データ収集を含む)(ゼミナールⅡに相当)
↓ - 自己のテーマを(事例研究を含みつつ)論文や卒論としてまとめる(卒業研究)
(ゼミ生個人テーマ(卒論を含む)例)
- 若者における「よっ友」の絆とは何か
- バトル漫画における女性表象
- 日本社会におけるタトゥーに対する意識
- ファースト・ファッションとグローバルな労働
- セクシュアル・マイノリティ当事者にとっての「LGBTs」「セクマイ」という言葉について
- ヴィジュアル系グループと女性ファン
- ジャニーズの男性ファン
- 男性保育士と現場
- 結婚式の変遷 :「人前式」人気の背景
- 子育て環境における<母親ワンオペ>誘導の施設デザインを考える――横浜、みなとみらい・桜木町の商業施設を例にして
- 女子校における主体形成――共学との比較調査をとおして
- 女性アイドルグループの女性ファンについて
- 美容整形の動機と「動機のボキャブラリー」論
- スポーツ番組における女性アスリート表象
- 日本社会のナショナリズム-----「日本スゴイ番組」の分析
- 若年女性の 身願望とファッション店舗におけるマネキン展示
- 女性犯罪被疑者の表象
- 宝塚ファンは何に魅了されているのか?
- 男性介護現場におけるジェンダー
- 中学校教科書におけるLGBTs 記述の分析 など
ゼミ生から一言
「笠間ゼミは社会学アプローチで多種多様な事象を取り扱うゼミの1つです。そのためゼミ生は思い思いの研究をすることができます。笠間ゼミであれば、日常の中にいくつも存在している疑問のタネを拾い上げ、自らの興味関心に応じて、それらを問いや研究に昇華させていくことができるでしょう。
その間に悩んでモヤモヤする時も、的確なアドバイスを頂いたり、ゼミ生同士で意見を出し合ったりすることで安心してスムーズに研究を進められます」(WS さん)
「私たちのゼミナールでは、主に若年層の文化社会について研究をしています。ナラティブアプローチや当事者研究、その他いくつかの資料を読みゼミ生で共有するため、様々な知識を身につけ、理解を深めることができます。その学びの中で卒業研究として取り扱いたい分野を見つけることができるため、始めはやりたいことが決まっていなくても大丈夫です!
時間をかけて自分が興味のある分野を研究できるため、とても有意義なゼミナールです」(SH さん)
選考方法
ゼミ要綱をよく読んで説明会や面談に参加してください。