松本 安生 ゼミナール

研究課題

人間科学専門ゼミナールⅠ
「環境行動の科学Ⅰ」

研究内容

 環境行動の科学とは、人々がどのように環境問題を認識しているのか(あるいは誤解しているのか)、また、どのような環境に配慮した行動をとるのか(あるいはとらないのか)を理解しようとする試みです。さらに、そうした環境問題に対する人々の意識や行動がいかなる要因や働きかけ(政策、啓発、教育、介入など)により促進される(あるいは阻害される)のかを解明することで、環境問題の解決に少なからず貢献できることを目指しています。

 このゼミナールでは、環境行動の科学についての理論と方法を学ぶために、現代社会における3つの環境問題のうちから、ゼミ生自身の関心に沿っていずれかを選び、実際に調査・研究を行います。

  1. 『ごみ問題~2R(Reuse/Reduce)を軸とした循環型社会への転換』
  2. 『エネルギー問題~再生可能エネルギーによる脱炭素社会の達成』
  3. 『地球環境問題~気候変動に適応したレジリエンスな社会の構築』

 まず、ゼミナールⅠでは、これらの環境問題に対する人々の意識や行動についての調査・研究がどのように行われてきたのか、またそれらが何を明らかにしてきたのかを、既存研究(文献)をもとに調べてもらいます。また、後期には、環境行動に関する実際の調査データをもとに、定量的な分析を行い、ゼミレポートとしてまとめてもらいます。

 次に、ゼミナールⅡでは、受講者自らがそれぞれの関心(仮説)に基づいて、人々の環境行動に関するアンケート調査を企画、実施し、その結果を調査報告書としてまとめてもらいます。このために、前期は、仮説の構築から調査項目の設定、質問文と選択肢の作成、調査対象者の選定などアンケート調査を実施するための準備を行います。後期には、収集したデータをもとに、単純集計やクロス集計などの基礎的な分析に加え、それぞれの仮説を検証するための解析を行います。

 最後に、卒業研究ではこれらの既存研究のサーベイやアンケート調査の結果をもとに、環境問題の解決に向けた具体的な対策について提案を行ってもらいます。提案は、人々の環境問題に対する認識や環境行動の特徴を踏まえ、どのような働きかけが有効であるかを文献研究あるいは実証研究により論理的に論じることが求められます。最終的にこれらの成果を卒業論文としてまとめてもらいます。

指導方針

  1. ゼミナールⅠから卒業研究を継続して履修することを原則とします。
  2. 環境問題がテーマであり、その基礎となる関連科目(環境と社会、環境社会論等)をあわせて履修することを推奨します。
  3. ゼミの講義時間は基本的にゼミ生の発表と議論が基本です。このため、ゼミの時間外に各自が必要な作業を行ってくること(予習・復習)が必須です。
  4. アンケート調査を実施する際には、必要に応じてテーマごとにグループでの作業を行います。このため、ゼミ生には他のメンバーと協調性をもって取り組むことを求めます。

教員より新ゼミ生へ一言

 現時点で環境問題についての知識は特に必要ありませんが、本ゼミナールを希望するにあたっては自分のなかにある次の3つの『心(ハート)』をいま一度吟味してください。第一に求められるのは、現代社会の環境問題に対する『関心』であり、第二はそれらの問題を引き起こす人間の意識や行動を知りたいと思う『探究心』であり、第三はこれらの社会問題を解決するために少しでも役に立ちたいと願う『貢献心(あるいは利他心)』です。これらの『心(ハート)』を持ち続けてゼミの活動に主体的に参加するならば、3年間のゼミナールを通じて、持続可能な社会を築くための小さくとも確実な一歩を踏み出すことができると確信しています。

 また、現代社会における環境問題を探求していくうえでは、文献や資料を調べることだけでなく、自ら現場を見て、体験することを通じて学ぶことも重要です。このため、ゼミナールではこれらの課題の解決に取り組む現場に自発的に参加(ボランティア等)することを推奨します。

選考方法

 申込者が15名以上の場合は選考を行います。選考は、各自の問題意識や志望動機をもとに行います。
 説明会に出席していることや、ゼミナール要項に記載されていることを理解していることも条件です。