衣笠 竜太 ゼミナール

研究課題

人間科学専門ゼミナールⅠ
「人体生理学1」
人間科学専門ゼミナールⅡ
「人体生理学2」

研究内容

・ 人体生理学とは何か?

 お腹が空いたり、暑いと汗が出たり、運動したら心臓がドキドキします。恋をすると胸がキュンとし、失恋すると涙が出ます。私達の体の中ではいったい何が起こっているのでしょうか?このような体の基本的な機能と仕組みを解き明かす学問が「生理学」です。私のゼミナールでは、人間の体を対象としているので、『人体生理学』というネーミングにしています。

・どのように研究を進めるのか?

具体的な研究テーマを見てみましょう。下表が2020年度の4年生の研究テーマの一覧です。

  • 肩甲帯の静的ストレッチがバレーボールスパイクのスイング速度に及ぼす影響
  • リアクションステップの跳躍高が動き出し速度に及ぼす影響
  • 歩行時の胸式呼吸と腹式呼吸が歩行効率に与える影響
  • バレーボールにおける1歩助走の歩幅の違いが跳躍高に及ぼす影響
  • 静的ストレッチと動的ストレッチの組み合わせが最大筋力と柔軟性に及ぼす影響
  • ディンギーセーリングにおけるハイクアウトフォームの検討
  • 切り返し動作の着地法とスタート法の違いが衝撃緩和と疾走速度に及ぼす影響
  • 陸上競技短距離種目のクラウチングスタートと足関節角度の関係
  • 足関節背屈運動の制限の有無が片脚ホップ動作時の筋活動に与える影響
  • 骨盤の傾きとハンドルの把持位置による自転車の効率的走行
  • メイクが運動パフォーマンスに及ぼす影響

 研究テーマが多岐に渡っていることがお分かりだと思います。このように、人体生理学の研究対象は非常に広いため、皆さん自身の興味に合わせて研究テーマを選定することが可能です。研究テーマは、私が提供するものでなく、皆さん自身の力によって開拓して頂きます。そのため、3年次の専門ゼミⅡの早い段階から研究テーマを検討し始めることになりますが(下図)、このことにより、皆さん自身が研究内容をじっくり吟味できるだけでなく、私も丁寧に指導できるスケジュールになっています。そのため、 2年次の専門ゼミⅠでは、専門用語や論文の内容をプレゼンしてもらうのですが、最先端の実験機材を使ってデータを取得する機会も沢山設けています。人体生理学は「実験する」学問ですし、実験することで専門用語と論文の理解度をより深めるという狙いもあります。2年次の早い段階から実験機材を使えるという点は、スポーツ健康コースの他の実験系のゼミとの決定的な相違の一つになっています。さらに、研究テーマの確定に至る様々なプロセスを経験することで、通常の座学の講義では培われにくい「論理的思考力」、「問題発見力」、「課題解決力」といった社会人基礎力を高めることもできます。

授業 目標 内容
専門ゼミ
(2年次)
実験機材を
使ってみる
  • 与えられた論文を読み、核となるキーワードを調べて発表する
  • 論文の結果を再現するため、実験機材を使ってデータを取得する
  • パワーポイントにまとめて、プレゼンする
専門ゼミII
(3年次)
仮説を立て、
研究テーマを決める
  • 自分の興味ある分野の論文を読む
  • 先行研究の結果に基づいて、オリジナルで論理的な仮説を立てる
  • 仮説を検証するための研究計画を立案する
  • 予備実験を行い、研究計画を見直す
  • 研究テーマが確定する
卒業研究
(4年次)
研究内容に応じた
要旨集原稿を書く
  • 本実験を行い、定められた人数分のデータを取得する
  • データを統計処理する
  • 要旨集原稿を執筆する

・実際のゼミの様子とゼミ生の声

 以下の写真は実際のゼミの様子です。2年次には、体育館下の実験室にある様々な実験機材
http://splab.human.kanagawa-u.ac.jp/)を使って、先行研究の結果を再現する実験をいくつか行うのですが(上図)、実験機材の使用法を担当係が説明したり(一番左の写真)、再現実験のデータをパワーポイントにまとめてもらいます(左から2枚目の写真)。また前期末には、全学年を対象に、前期の研究進捗を報告する中間発表会(左から3枚目の写真)やスポーツ大会(一番右の写真)を行ったりしています。その他にも、季節に応じた様々なイベントが企画されており(インスタグラム:kinu_ku, Facebook:kinulab)、一年を通して楽しく過ごせるように工夫されています。

2020年度の3・4年のゼミ生を対象に、このゼミナールについて尋ねてみました。ここから、現役学生の肌でどんなことを感じているのかを知ることができると思います

【ゼミで学んでいる点】
  • 物事を論理的に考える思考力
  • 誰でも理解できるプレゼンの作り方
  • 必要な情報を取捨選択する力
  • 実験機材の使い方
  • 問題解決能力
【ゼミが他の授業の単位取得で役立っている点】
  • 上級生や同級生、下級生と授業情報の共有ができる
  • レポート作成にどの情報が必要か適切に判断できるようになる
  • 通常の講義のレポートが簡単に感じる
  • Excel や PowerPoint の扱いが上手くなるこで、授業でのプレゼンに役立つ
【ゼミが就活で役立っている点】
  • グループディスカッション時に他の就活生よりも多面的な意見 を述べることができる
  • 課題の解決作を思いつきやすい気がする
  • 難しそうな課題を見ても焦らず”まず詳細を見よう”と落ち着いて対応できる
  • 面接で興味を持ってもらった際、しっかり説明できる
  • 論理的に考える力が付いているので、強みとしてアピールできる
【他の実験系ゼミと違うと思われる点】
  • 1.2.3.4.年や OB など様々な年代の人との交流が多く、縦横の繋がりが強い
  • エキサイティングなイベントが他より多く、大学生活の良い経験になる
  • 実験機材の使い方を先輩に教えてもらい、2年次から扱えるため習熟度が高い状態で卒研に臨める
  • なんやかんやめちゃくちゃ充実して楽しい
  • 勉学と遊びのメリハリがある
  • 完全にオリジナルな実験を行うことができる
  • 早いタイミング(3年生)から卒業研究に取り組むことが出来る

・留学と就職

 最近の傾向として、在学中に留学する学生が増えつつあります(2019年度:4名[韓国,オーストラリア, カナダ,スペイン],2020年度:2名予定[スペイン,カナダ])。ゼミでの学修を生かした就職先として、フィットネスクラブ(東急スポーツシステム,RIZAP など)、スポーツメーカー(ヨネックスなど)、健康関連団体(日本予防医学協会,横浜市体育協会など)があげられます。その他、公務員(東京消防庁,浜 松市消防局,神奈川県警察,国税庁など)や教員(山梨市の小学校,横浜市の中学校, 千葉県や静岡県の高校)もいますが、多くの学生が一般企業(銀行,IT,食品,旅行,アパレルなど)に就職します。若干ですが、大学院(神奈川大,早稲田大,東京工業大,オレゴン州立大など)に進学しています。

選考方法

志望理由書(A4用紙1枚以内)と(状況に応じて)面接によって、選考します。